「われわれ中高年世代の真の“品格”が問われている」(冨山和彦)
「品格、品格」と品格がない人がやたらに「品格」を説教するのが流行だが、元産業再生機構の最高執行役員の冨山和彦氏は日経「経済教室」でいいことを言っている。メモ。
抜粋:
同感。ぬくぬくと既得権益で食っているくせに、エラソーに国民の「品格」とやらを云々するなら、こういった問題への対処の仕方で自分に品格があるということを示して欲しい。
- 日本は衰退国である。品格論者は「カネ、カネ、カネの社会に成り下がった」と嘆くが、実際はカネの稼げない国、国民になりつつある。
- 日本国民は自由で公正な市場経済システムがあればこそ「食えて」いる。反グローバル化、鎖国型の所得再配分政策をとれば、日本企業自身が国際競争に負けて潰れ、その結果もっとも疲弊するのは日本国民の生活だ。
- しかし、この国の経済財政運営は、低劣で的外れな議論を繰り返し、国家と国民経済の衰退に歯止めが掛けられないでいる。
- これは民主的統治のプロセス自体に大きな欠陥があるからだ。
- この国の国民的な意志統合を妨げている最大の要因は、世代間対立であり、既得権益の内と外の間での対立だ。終身年功型雇用で企業内で権力を握っているのは年功があり多数派の中高年世代だ。彼らの雇用を最優先する結果が、若年層のロストジェネレーションであり、現場力の疲弊だ。
- 安定が続いた社会システムの中に巨大な既得権益層が形成されている。官僚機構と外郭団体、それに守られた民間企業と職能集団、その中に「正規雇用者」や「有資格者」として運良く潜り込めた人々と、はじき出された「非正規雇用者」の間にこそ、本来の生産性や競争力を反映しない不公正な格差と対立がある。
- 民主国家では選挙制度は第二の憲法と呼ばれているが、若者が多く住む都市部には最大五倍もの一票の格差がつけられているところがある。
- 所得再配分に依存している地方ほど既得権益構造が温存され、その中では、与野党とも本質的な論点に真っ正面から切り込むことはきわめて困難。
- 今こそ司法は(選挙制度の法の下の平等化に)責任を果たせ。
- 今の若者が高齢者となる五十年後、この国は「稼げない」どころか「食えない」国になり、彼らはもっと気の毒な高齢者となる可能性が高い。
- (多数派で既得権益者である中高年が)自らの不利益となるような変革を実現できるか、私たちの品格が問われている。
同感。ぬくぬくと既得権益で食っているくせに、エラソーに国民の「品格」とやらを云々するなら、こういった問題への対処の仕方で自分に品格があるということを示して欲しい。
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